第三文明社

書籍

春の消息

春の消息

柳美里・佐藤弘夫

定価:
2,200円(税別)
ISBN:
978-4-476-03369-4
体裁:
A5判ソフトカバー
ページ数:
264ページ
発刊日:
2017年11月29日
在庫状況:
在庫あり

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東北各地の霊場を探訪し、日本人の死生観をさぐる。盛夏から晩秋、そして初冬へ──。作家(柳美里)と学者(佐藤弘夫)は、魂のゆくえを訪ねて、東北を歩いた。それは、大震災を経験した人々が待ち望む春を探す旅でもあった。



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 本書は日本人の死生観をテーマに、福島県南相馬市在住の芥川賞作家・柳美里氏が、東北大学大学院の佐藤弘夫教授と共に、かつて飢饉・冷害・震災といった大災害に見舞われた東北各地の墓地、有形・無形文化遺産などを探訪。
 第一部では、地域に残る生者と死者の交歓風景を、佐藤教授によるナビゲーションと柳美里氏による7本のエッセイを組み合わせて展開する。
 ふたりは2016年夏から冬にかけて、青森県五所川原市の「賽の河原・川倉地蔵尊」や、「姥捨て伝説」の舞台となった岩手県遠野市のデンデラ野・ダンノハナを訪ねたり、中世には納骨儀礼の場であった宮城県の松島などを訪れた。さらに東日本大震災の被災地である福島県南相馬市や警戒区域である大熊町にも足を延ばすなど、東北各県で取材を重ねた模様を、佐藤教授による解説と、仙台在住の写真家・宍戸清孝氏による写真で紹介。
 第二部には、佐藤教授と柳美里氏の対談を収録。生者と死者の織りなす独自の文化の形成と定着について読み解き、未来に向けた死生観・生死観を語り合うとともに、それぞれが体験した「東日本大震災」と、その後の日々についても考察を深める。

【目次】

Ⅰ 死者の記憶

Ⅱ 納骨に見る庶民の霊魂観

Ⅲ 日本人と山

Ⅳ 土地に残る記憶

Ⅴ 生者・死者・異界の住人

Ⅵ 死者のゆくえ

対談「大災害に見舞われた東北で死者と共に生きる」

エッセイ 柳美里
「蜂占い」
「遺品」
「鳥になって」
「梨の花」
「境界の城」
「春、大きな樹の下で……」
「黒焦げとなった少年」

【著者プロフィール】

柳美里(ゆう・みり)小説家・劇作家。1968年、茨城県生まれ。高校中退後、劇団「東京キッドブラザース」に入団。女優、演出助手を経て、1987年、演劇ユニット「青春五月党」を結成。1993年、『魚の祭』で、第37回岸田國士戯曲賞を受賞。1994年、初の小説作品「石に泳ぐ魚」を、文芸誌『新潮』に発表。1996年、『フルハウス』で、第18回野間文芸新人賞、第24回泉鏡花文学賞を受賞。1997年、『家族シネマ』で、第116回芥川賞を受賞。1999年、『ゴールドラッシュ』で、第3回木山捷平文学賞を受賞。2001 年、『命』で第7回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞を受賞。福島県南相馬市在住。

佐藤弘夫(さとう・ひろお)東北大学大学院文学研究科教授。1953年、宮城県生まれ。東北大学大学院文学研究科博士前期課程修了。盛岡大学助教授などを経て現職。神仏習合、霊場、日蓮、鎌倉仏教、国家と宗教、死生観などをキーワードに日本の思想を研究している。残された文献の厳密な読解による実証研究をベースにしながら、石塔や遺跡などのフィールドワークを取り入れ、想像力を駆使して、大きな精神史のストーリーを組み立てることめざしている。宮城県仙台市在住。

宍戸清孝(ししど・きよたか)1954年、宮城県生まれ。1980年に渡米、ドキュメンタリーフォトを学ぶ。日本写真協会会員。1993年「カンボジア鉄鎖を越えて」(銀座ニコンサロン)、1995年からアメリカと日本のはざまで激動の時代を生きた日系二世をテーマにした写真展「21世紀への帰還」シリーズを発表する。2004年伊奈信男賞、2005年宮城県芸術選奨などを受賞。