見えない世界を視る

近代日本における〈非リアリズム小説〉

山中正樹

見えない世界を視る

近代日本における〈非リアリズム小説〉

山中正樹

言語では表現し得ない世界を、言語によって表現する。 芥川龍之介、川端康成、村上春樹、川上弘美らが描く 〈非リアリズム小説〉をもとに〈読むこと〉の本質を考える。

「言語や感覚では捉えられないものが世界には存在すると考え、それを表現しようとした作家や作品、〔中略〕例えば、日本を代表する文豪である、森鴎外や夏目漱石にもそうした要素は見られ、特に、芥川龍之介・川端康成・三島由紀夫などがこれにあたる。また現代の作家では、村上春樹・村田喜代子・川上弘美なども、この系譜に連なる作家であると言えよう。
 これらの作家は、〔中略〕目の前にある現象や事物の背後に、感覚では捉えられない世界があることを認識の基盤としている。私たちの感覚では捉えられない世界、言語では表現できない世界の存在を、疑わないのだ」(本書「序章」から)

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定価:2,420円(税込)

体裁:四六判ソフトカバー

ページ数:400ページ

発刊日:2025年5月15日

ISBN:978-4-476-03431-8

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参考価格:1,815円(税込)

発売日:2025年5月15日

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【目次】
はじめに
序 章 日本の近代文学における〈二つの流れ〉について
第一部 深層心理の闇/〈暗黙知〉と世界認識——近代日本文学研究上の課題
第二部 近代日本における〈非リアリズム小説〉を読む
終 章 第三項と〈世界像の転換〉をめぐる「ひとつ」の考察
    ——いまこそ文学教育による子どもたちの心の修復を
あとがき


【著者略歴】
山中正樹(やまなか・まさき)
創価大学文学部教授・博士(文学)。愛知県名古屋市生まれ。南山大学文学部哲学科卒業。愛知県立高校国語科教員の後、名古屋大学大学院文学研究科博士課程後期(国文学専攻)満期退学。豊田短期大学日本文化学科講師、桜花学園大学人文学部准教授、創価大学文学部准教授を経て、2012年4月より現職。
著書に『三島由紀夫事典』(分担執筆、勉誠出版)、『「読むこと」の術語集 文学研究・文学教育』(分担執筆、双文社出版)、『表現文化論入門 インターメディアリティへの誘い』(分担執筆、第三文明社)、『高校生のための文章表現法』(三恵社)、『川端康成―文学の構造と〈美〉の生成―』(鼎書房)など。