第15回 お父さん指
父親になったからなのか最近、世の中にはけっこう「父子の絆」を描いた本やドラマなどが多いんだな、と感じるようになりました。
たとえば今、TBS系列で「とんび」というドラマが放送されていますよね。テーマは「どうしようもなく不器用な父が、ただ1つ、僕を精一杯愛してくれた30年の物語」。こんなテーマを掲げられたら、もうどうしても見たくなっちゃいます。
また最近、たまたま立て続けに読んだ2冊の本も「父」がキーワードになっていました。
1冊は、少し古い本になるんですが『99%の誘拐』(講談社)。
もう1冊は、直木賞作家・道尾秀介さんの『カラスの親指』(講談社)。日本推理作家協会賞を受賞しているこの作品。昨年、同名で映画化されたので、知っている人もたくさんいると思います。
人生に挫折し、詐欺で生計を立てる2人の中年詐欺師・武沢竹夫(タケ)と入川鉄巳(テツ)を中心に話が展開されていきます。
れれれ
最初はあまり期待せずに読み始めました。ところが単なる詐欺師の推理小説ではなかったんです。細かい内容はぜひ読んで確認してほしいと思いますが(あまりにも驚きで信じられない感動的な結末!)、途中にこんな話が出てきます。
指の別名をお父さん指(親指)、お母さん指(人差し指)、お兄さん指(中指)、お姉さん指(薬指)、赤ちゃん指(子指)と確認したうえで、「お父さん指と、お母さん指、くっつきます?」(テツ)「簡単だろ、こんなの」(タケ)「じゃ、お父さん指とお兄さん指は?」(テツ)
「くっつくよ、ほれ」(タケ)「お父さん指は、お姉さん指とも赤ちゃん指ともくっつきますよね」「じゃ今度は、お母さん指でやってみてください。同じこと」(テツ)
皆さんもお母さん指でやってみてください。赤ちゃん指だけ難しくありませんか? でも、お父さん指をお母さんの指の脇に添えると——。
お母さん指と赤ちゃん指が簡単にくっついちゃうと思うんです。
あと、「お父さん指だけがどの指とも向き合うことができる」という話もありました。
以上『カラスの親指』からでしたが、僕はこの2つの話がとても気に入りました。家族、子ども(特に赤ちゃん)にとって、お父さんは、あるいはお父さん的な役割を担う人は、絶対に必要なんだと感じることができたからです。
「イクメンへの道」。これからも「お父さん指」をめざして頑張っていきます!