高崎隆治
日中戦争・太平洋戦争下に新潮社から刊行されていた大衆娯楽誌『日の出』、文芸誌『新潮』を分析し、今日の『週刊新潮』につながるその反人権体質を浮き彫りにする。
【おもな内容】 第一章 日中戦争下の『日の出』 ・大本営報道部との宴会や座談会をくりかえしていた雑誌社 ・『週刊新潮』の悪質な反社会性が週刊誌全体の信用を失墜させた ・軍部が叫ぶ「国民精神の高揚」に呼応した 別冊付録『熱河長城血戦録』――ほか 第二章 太平洋戦争と『日の出』 ・開戦の一年前から『日の出』は時局雑誌になっていた ・まるで軍司令官のように読者を脅迫しつづける ・心配するにあたらないという結論を下した「原子爆弾の話」 ・読者を劣等者として見下している娯楽雑誌の編集者 第三章 文芸誌『新潮』と戦争 ・文学者も読者も「絶望」していたことを知っていてもなお ・文学的良心を貫く「面従腹背」も読みとれない編集者 ・現実の認識を誤ったメディアは凶器に変貌する ・『新潮』が戦後まで延命したことが今日の文学の危機につながっている 第四章 新潮社の戦後 ――『日の出』から『週刊新潮』へ ・「我ら」と記して国民を仲間に引きずり込む ・戦時下の言動について謝罪さえもしない 新潮社が言う「人生の教師」とは ・問題なのは「低俗」が愚劣を超えた嘘で固められていること