バクトリア王国の興亡
──ヘレニズムと仏教の交流の原点
レグルス文庫
紀元前、現在のアフガニスタン北部・イラン北東部や、トルクメニスタン・ウズベキスタン・タジキスタンの一部を中心に、パキスタン北部まで広がることもあったバクトリア王国。ギリシャ・ローマの史家たちが筆にとどめた古代のロマンあふれるバクトリアの物語は、どこまで本当だったのか。史書と考古学の成果(遺跡発掘と大量のコインの出土)から読み解く。アッシリアのバクトリア攻めから説き起こし、アケメネス朝ペルシャの栄華と崩壊、アレクサンドロス大王の東方遠征とインドとの接触、大王の後継者たちによる合従連衡の戦国時代、パルティアの勃興と遊牧民族による衝撃、ゾロアスター教と仏教の影響、メナンドロス(ミリンダ王)の活躍、グレコ・バクトリア王国の滅亡までを豊富な図版を添えて描く。ヘレニズム時代と古代バクトリアに関する類例を見ない興趣あふれる一書。
- 参考価格:
- 770円(税込)
- 発売日:
- 2019年3月1日
【目次】
1 夜明け
2 ダリュウスの影
3 アケメネス・バクトリア
4 アレクサンドロス・アナバシス
5 バクトリアの星
6 インドをのぞむ
7 アレクサンドロスの後継者ディアドコイたち
8 混血の王
9 独立への模索
10 イラン・ルネッサンス
①パルティア
②古き都
③東方のざわめき
④パルティア・漢・ローマ
11 帝王の譜
12 両世界の王
①征服者メナンドロス
②仏教西流
③崇仏の王
13 遊牧の民のどよめき
14 夕暮れ
15 蘇るバクトリア
①古銭を集める
②オクサスの遺宝
③スルフ・コタル(赤い峠)
④アイ・ハヌム(月姫の丘)
⑤タフト・イ・サンギン(石の玉座)
結び
邦語参考文献
バクトリア王国 略年表
あとがき
【著者プロフィール】
前田耕作(まえだ・こうさく)
1933年、三重県生まれ。和光大学人文学部教授を経て、同大学名誉教授。アジア文化史・思想史専攻。アフガニスタン文化研究所所長。57年、名古屋大学文学部卒業。64年、第一次名古屋大学アフガニスタン学術調査団に参加、その後数次にわたってアフガニスタンの遺跡の調査に従事。89~90年、和光大学バローチスタン調査団に参加、クエタ、マストゥング、カラートの遺蹟を調査。著書に、『バーミアン』(共著、名古屋大学)、『巨像の風景』(中公新書)、『アジア考古漂記』(恒文社)、『アジアの原像』(NHKブックス)、『宗祖ゾロアスター』(ちくま新書)、『玄奘三蔵、シルクロードを行く』(岩波新書)、『アフガニスタンを想う』(明石書店)など、訳書に、バシュラール『火の精神分析』、エリアーデ『イメージとシンボル』『宗教の歴史と意味』(以上、せりか書房)などがある。