村上春樹
都市小説から世界文学へ
世界で読まれる「ワケ」がある。平成の司馬遼太郎・松本健一が読む「ハルキワールド」
- 定価:
- 1,650円(税込)
- ISBN:
- 978-4-476-03303-8
- 体裁:
- 四六判ソフトカバー
- ページ数:
- 240ページ
- 発刊日:
- 2010年2月1日
- 在庫状況:
- 在庫あり
[目次]
1章 『1Q84』から始まる新たな村上文学
対立する二つの反応
それでも村上作品への期待は変わらない
都市小説と世界文学
『1984年』と『1Q84』
カルト集団が起こした事件と対峙して
2章 都市小説としての村上春樹
三島由紀夫と村上春樹
村上春樹とフィッツジェラルド
占領下の文学体験
孤独ゆえに市場価値の共有が始まる
入口の工夫で読者を村上ワールドの物語世界に誘って
著者自身の都市小説への違和感
3章 村上春樹を読む─『ノルウェイの森』
「死」にゆく物語としての『ノルウェイの森』
「僕」を主人公にしたファンタジー
あらかじめ失われた者同士として
オウム信者へつながる都会人のエートス(精神類型)
人それぞれの歪みを認めること
死者を抱え込んだ人はどう生きるのか
新しい人生を始めよう
はじかれたものが犯す犯罪
4章 「私」をめぐる冒険─『ねじまき鳥クロニクル』
日本における権威とは母親だった
人の「つながり」は「愛」だけで得られるか
アイデンティティーを喪失した人間の物語
物語を開く扉としてのパソコン
人はみんな「つなが」っている
「これは私の事件だ」という冒険
システムは常に新しいシステムを生む
他者を理解することで物語を収斂する
5章 世界文学への挑戦─『1Q84』を読み解く
戦後の時代精神を遡って
カルト集団に変質してゆく「さきがけ」
自分は正しいことをしているという確信
都市小説の形式で書いた世界文学
オウム真理教の事件が有する世界性
権力者ははじめは「善」として現れる
おわりに
村上春樹 主要作品一覧
参考文献・資料
[著者紹介]
松本 健一(まつもと けんいち)
1946年、群馬県生まれ。東京大学経済学部卒。近代日本・アジア精神史研究の第一人者として活躍中。2005年、第8回司馬遼太郎賞を受賞。主著に『評伝 北一輝』(全5巻・岩波書店/毎日出版文化賞)、『近代アジア精神史の試み』(岩波現代文庫/アジア・太平洋賞)など。文学論としては『ドストエフスキイと日本人』(上下巻・第三文明社)などがある。